シソーラス標準

人々は長い年月をかけてシソーラスを発展させてきました。その中で、数多くの国内・国際標準が作られ、その標準は単一言語圏におけるシソーラスの構築を網羅しています。具体的には、「ISO 2788(1974、1985、1986、国際標準)」、「BS5723 (1987、英国) 」、「AFNOR NFZ47-100(1981、フランス) 」、「DIN 1463(1987~1993、ドイツ)」、「ANSI/NISO Z39.19 (1994、1998,2005,2010、米国)」などが挙げられます。ANSI/NISO Z39.19は、国際標準のISO 2788とよく類似しており、タイトルにある「ガイドライン」という用語は非常に多くを語っています。ところが、あるソフトウェアベンダーは「これらの基準は何も明確にしていない。もしシソーラス機能インターフェースを探していたり、標準シソーラスフォーマットを探していたとすると、ここでは何も見つけることができない。そのかわりに、これらのガイドラインはシソーラスコンパイラのためのものである。ここでいうコンパイラは実際の人間であり、プログラムではない」と述べているそうです。そして、言えることは、ANSI/NISOシソーラス標準が提供しているガイドラインは非常に単純ではあり、適用はきわめて困難だということです。この標準が提供している概念的な枠組みは価値があるもので、具体的なルールを提示している場合もあります。しかし論理的思考や創造性、リスクテイキング(リスク愛好)の必要性はシソーラス構築のプロセスからまったく取り除かれていない、と言えるのではないでしょうか。こういった葛藤の背景には、インターネットの爆発的な普及という時代背景があることも否めません。シソーラスが伝統的な形式から、ネットワーク情報環境に埋め込まれた新しいパラダイムへと移行する真っただ中にある、と言えるのかもしれません。伝統的なシソーラスは、学問的なコミュニティと図書館のコミュニティ内で出現し、印刷物の形式で使用され、主に専門家を対象に設計されていました。当時においては、オンラインでの情報獲得は、図書館にある膨大な量の物のシソーラスに関することがほとんどでした。ダイアログ情報サービスのオンライン検索用に、サブジェクト(主題)記述子(subject descriptor)を確認することが目的だったのです。こうしたツールを利用できたのは訓練された人々でしたし、「専門家が定期的に利用するのだから、時聞がたてば効率よく使えるようになるだろう」と考えられてきました。処理時間とネットワーク帯域幅が比較的高いコストである状態でシステム全体が成り立っていたからです。

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